2020 年 10 月、IACS は、船舶とオフショア設備において水密性が要求される電線貫通部の管理、文書化、および検査に関する規則を新たに改訂し発表しました。 この記事では、IACS の新たな統一規則 Z28、Z23、Z17 の概要を解説し、オーナー、オペレーター、造船所が今行うべきことを整理します。
IACS (国際船級協会連合) は、世界中の船舶とオフショア設備の安全性を向上させることを目的として、新たに統一規則を改訂しました。 その例として、水密性が要求される電線貫通部の確認と施工品質について重点的に明記されています。 この規則は現在施行されており、2021 年 7 月 1 日以降に建造の契約が交わされた船舶とオフショア設備に適用されます。
IACS UR Z28 – 水密性が要求される電線貫通部の検査
この新しい章は、船舶とオフショア設備の水密性が要求される電線貫通部に関して、新造から解体に至るまでのライフサイクル全体にわたる管理について定めています。 以下についての指示が記載されています。
- 電線貫通部をどのように維持、管理、文書化するか
- 電線貫通部の施行品質をどのように管理し、維持していくか
- 電線貫通部の定期検査をいつどのように実施するか
IACS UR Z23, rev. 7 – 新造船体の検査
更新された Z23 規則には、水密性が要求される貫通部に関して、電線貫通部シールシステム登録を作成し、船舶建造ファイル (SCF) に追加しなければならないと記載されています。 登録には以下の内容が必要です。
- マーキングもしくは電線貫通部 ID 管理システム
- 参照文献として各種電線貫通部のメーカー取扱説明書
- 各種電線貫通部の型式認証証明書
- 施工図面
- 造船所での最終検査を済ませた各電線貫通部の施工完了状態の記録と、全ての検査、変更、修繕、保守作業を記録できる欄
IACS UR Z17, rev. 15 – 承認されたサービス提供業者の手続き要件
UR Z17 に新たに追加されたセクション 17 は、船舶やオフショア設備の電線貫通部検査に従事する会社に関するものです。
- 船級協会は、承認された検査サービス提供会社として認定を目指す企業に対して、監査を実施できるよう体制を整えなければならない。
- 承認されたサービス提供会社で、電線貫通部検査サービスの提供を行う場合は、対応する船級検査プログラムに沿って、船級協会から承認された提供会社として認定を受けなければならない。